豪ドル/円相場は、79円台後半まで軟化する展開。6月29日以来の80円割れになり、約1ヶ月ぶりの安値を更新している。概ね80~82円の狭いボックス相場が続いてきたが、スペイン債務問題の蒸し返しなどからリスク回避の動きが強くなったことで、高金利通貨・資源国通貨に対しても売り圧力が強くなっている。
オーストラリア準備銀行(中央銀行)のスティーブンス総裁は24日、豪州経済の見通しは明るいとの見方を改めて示した。「幾つかの点で悲観主義者が正しかったと判明しても、我々が対応できないということではない」と指摘している。「国際的な経済状況が大きく悪化」するリスクを指摘するも、「インフレが懸念要因とならない限り、豪州には必要なら依然としてマクロ経済政策を活用する余地がある」として、豪経済に関しては必ずしも悲観視していないことが確認できる。金融政策についての直接的な言及は行われなかったが、今月の理事会議事録でも「豪州の経済成長は勢いを増す」との強気な見方が示されている。
ただ、足元では豪経済のファンダメンタルズよりも、リスク投資全体の地合が重視されており、豪ドルに対しては売り圧力が強まり易い。投資環境悪化局面では、どうしても高金利通貨や資源国通貨などのいわゆる「リスク通貨」よりも、米ドルや円などの「安全通貨」が志向される傾向が強い。豪国債買いから豪金利に低下圧力が強くなっていることもあり、少なくとも豪ドルの本格的な上昇を想定することは難しい。当面はリスクオンで豪ドル買い、リスクオフで豪ドル売りという単純な相関関係に回帰する見通し。欧州債市場の混乱が続いている間は、素直に豪ドルの戻り売りスタンスを継続すべきである。
今後1週間の予想レンジは、78.75~80.75円。